除梗

除梗するか否か?シャトーヌフ・デュ・パップではシェークスピアの問答のようなものである。一方には伝統を重んじ、除梗をしない生産者が、もう一方には味わいや香りなどの点において変化を求める除梗賛成派がいる。歴史的にはシャトーヌフ・デュ・パップではぶどうは収穫されそのまま房ごと除梗されずにタンクへ入れられる。茎や花梗にあるタンニンはぶどうのタンニン分と混ざり合っていく。この花梗部分は十分熟すと、ワインが長期熟成するためには不可欠なストラクチャーと骨組みをもたらす。アペラシォンの代表的な品種であるグルナッシュのタンニンはそう強くないため、しっかり熟した花梗が必要となる故である。ただしこの花梗部分が十分に熟していないとワインにベジタルな青みや渋みがでてくる。

ここ10数年、生産者達は除梗をする傾向が強かった。つまりぶどうの実から花梗を取り除いて醸造してきた。こうして生産されたワインは繊細で若くしても美味しく飲むことが出来る。

中には一部の花梗のみを除梗して、残りは房ごと醸造する生産者もいる。つまり部分的な除梗を行うのだ。これにより複数の異なるタイプのキュベが出来上がる。

収穫されたぶどうは除梗後、破砕の段階に入る。ぶどうはローラーが設置された破砕機を通り、軽く潰されジュースがでる。ここからマセラシォンと醗酵が始まる。