熟成とは醸造とボトリングの間のピリオドを指す。好奇心の旺盛なシャトーヌフ・デュ・パップの生産者達は大樽や小樽、又は中樽などを使用する。それらは伝統に基づいているものもあれば近代的でモダンな考えに基づくものもある。
シャトーヌフ・デュ・パップのワインは昔から150-200ヘクトリットルもの容量の大きな木樽で熟成されてきた。大樽での熟成は中身のワインにほどよく酸素が送られるという効果がある。ゆっくりとバランスよくこの呼吸作用が行われることにより、ワインがより豊かになり複雑味をもった味わいになる。木樽香がつきすぎず、特にグルナッシュにこの熟成方法が適している。しかし近年ではこの巨大な大樽のみならず、他地域で使用される様々な容器を取り寄せてワインを熟成させる生産者も多くいる。
例えばまずバリックと呼ばれる小樽、これはボルドー地方では225L、ブルゴーニュ地方では228Lの容量で生産される樽のことを指すが、これが新たに入り込んできた熟成樽である。タンニン分を和らげ、ワインにバニラやトースト香をもたらす。熟成中、生産者達はワインを時折試飲しながらその状態をチェックしている。なぜなら樽がまだ新しいときなどは、木の香りが強すぎてワインの美味しい香りを隠してしまうからだ。この熟成方法に適したキュベのみが小樽で熟成され、そうでないものは大樽や他の容器で熟成される。それら全てを最後にブレンドすることによって最終的なワインが出来上がる。バリックはストラクチャーとふくよかさをもたらすので、時に白ワインにも使用される。
また最近ではシャトーヌフ・デュ・パップの生産者たちはドゥミ・ミュイというバリックと大樽の中間に位置する中樽を使用するようになってきた。容量600L、ワインと木のコンタクトもゆるやかに進み、アペラシォンの王様であるグルナッシュの熟成にも適している。